開講前に、高校生向けにガイダンスや模擬授業を行い、周知に努めた。その結果、石巻商業高校では延べ119人、東松島高校では11人が履修した。
　授業における高校生の様子はどうだったのか。石巻商業高校の生徒36人が履修した「コンピュータ・スキル・ラーニング」を担当した経営学部の益満環講師は、高校生の意欲の高さに驚いたと話す。
　「この科目は曜日の違う３クラスで行われているが、高校生のいるクラスが一番、活気があった。高校生は分からないところをどんどん質問し、分かるまで食い下がってくる。そのまじめな姿に大学生が刺激を受けた。これは予想外の効果だった」
　石巻商業高校の第３学年主任の木下博昭教諭は、「高校での教科書に沿った授業とは異なる大学の講義は、生徒にとって新鮮であり、継続して受けることによって大学というものを実感できたようだ。また、知的好奇心が刺激されたようで、例えば、『経営学総論』をきっかけにドイツ語に関心を示した生徒がいた。高校の授業だけではこういう成果は得られない」と話す。
　前期に履修した生徒の口コミで、後期の受講を希望する生徒が増えたことからも、大学の授業が高校生にとって意義深いものであるといえよう。
　しかし、高校生にとって大学の授業は楽しい面ばかりではない。「コンピュータ・スキル・ラーニング」では、出席日数が足りなかったために４人が単位を落とした。部活動の試合といった用事と重なり、どうしても出席できない日があったからである。評価基準は大学生と全く同じであり、個々の事情は考慮されない。
　「生徒が大学の厳しい面を身をもって体験できる場となった」と、石巻商業高校の佐藤亨教頭は評価する。