特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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教員の意識改革を促すため教育活動への貢献度を評価

 アウトカムの導入は、学生や教員に、ディプロマ・ポリシーをさらに意識させるというメリットももたらす。卒業時の姿を明確に示すことによって、学生は目標とのギャップを常に把握でき、努力目標がはっきりする。
 また、効果測定に様々な評価法を取り入れ、それぞれの要素に対する多面的な評価を可能にした。さらに教員は、自分の担当する授業の相対的な段階を把握し、授業設計の指針とすることもできる。吉岡教授は「医学部は教育期間が長いため、アウトカムやロードマップを整備し、学生のモチベーションの維持・向上につなげたい」と期待する。
 このような一連の教育改革が可能になった理由として、教育に関する権限が、学部長のもとに設置される「医学教育審議会」に付与されていることが挙げられる。カリキュラム改革と前後して行われた組織改革によって、講座や科といった従来の組織単位ではなく、「学部として教育する」という一体感が生まれた。医学部の場合、一般的には学生の教育に直接携わらない教員の割合が高いが、教員は必ず何らかの形で教育に参加するものだという意識が高いという。
 2009年度からは、教員の教育活動を教員評価に組み込む制度も始まる。卒前教育だけでなく、卒後教育や生涯教育も含めて教育への貢献度を評価することにより、教員にさらなる意識改革を促そうとしている。


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