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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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アドミッション・ポリシーに「言葉」を与えて内外に発信

 今後の課題は、アドミッション・ポリシーに加えてカリキュラム・ポリシーとディプロマ・ポリシーも明確化することだ。重森学長は「これからは、教育の内容と成果が問われる時代。『入口』『中身』『出口』の理念を明確にし、教育に向かう姿勢に一貫性を出すことによって、対外的に本学のイメージが浸透していくようにしたい」と期待を込める。
 現在、大阪経済大学では、アドミッション・ポリシーにうたわれた内容を基に、カリキュラム改編が着々と進められている。その目玉となるのが、2009年に導入が予定されている経済学部の一括募集方式だ。1年次では経済学科と地域政策学科に分けず、自由な学習プログラムを通して学生の興味・関心、適性を見極め、2年次にそれぞれの学科に分ける。他学部との乗り入れ科目の増加、1年次のゼミの充実も検討中だ。いずれも異分野同士や教員と学生とのつながりを意識した改編であり、アドミッション・ポリシーで示された理念を実質的にカリキュラムに反映しようとしている。
 また、同学部では、受験生の大学認知度や決定要因、入学後の満足度や意識状況などを把握し、カリキュラム改革に生かすため、2008年1月にFD会議を開催。資料やデータを基に実態に即したカリキュラム改革を行っている。

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入学者と保護者の意識調査を外部の調査会社に依頼。その結果を受け、経済学部では、教員36人によるFD会議を開催した。

 ディプロマ・ポリシーについても、ベースになる理念はすでに存在する。経済学部では、人材育成に関して、「理論的学習と現場体験学習からなる系統的で専門的な実学教育を通じて(中略)企業社会・地域社会・国際社会に貢献する『経世済民』の志を持った人材を養成する」という考えを持つからだ。
 同大学のポリシーは、志願者を増やしたい、あるいは単に大学のブランド力を高めたい、といった発想で策定されたものではない。経済学部のアドミッション・ポリシーが、教授会における討議を経て完成したことに見られるとおり、現場の教員の思いが色濃く反映している。
 「『中身』『出口』の理念もおのずとアドミッション・ポリシーにつながっている。そこに明確な『言葉』を与えて内外に発信していくことが必要だ」と重森学長は語る。
 同大学では、2009年から始まる第3次中期計画の中で、各ポリシーを具現化していく予定だという。


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