全学共通プラットホームの整備を踏まえて、本学では2004年に副専攻制度を創設した。副専攻は本学にとって初めての到達目標明示型の教育プログラム作成の試みであった。
　副専攻プログラムは、学内のボランタリーな教員集団により管理される。各教員には「主担当」の学部・学科があるので、副専攻はそれ以外のところで別途構築される教育プログラムとなる。従って、カリキュラムは従来型の学問構造に依拠することはできず、それ以外に体系性を担保するものが必要になる。その役割を果たすものとして、プログラム修了時の学習成果が必要になる。
　副専攻プログラム構築には、第一に学習の到達目標を定め、目標達成に必要な授業科目を全学で開講されている授業科目からリストする、という形式を取った。副専攻修了に必要な単位数を24単位として、当該学生の主専攻分野での学習成果の質を担保するために、卒業時の全履修科目のＧＰＡが一定以上の学生のみを認定するものとした。つまり、本学のブランド性を標榜できる学生にのみ副専攻認定証書を交付することとし、その意味で副専攻を「オナーズプログラム」と称した。
　現時点で、本学の副専攻の到達目標が「理想通り」に作られ、機能しているわけではないが、少なくとも本学教員（の一部）に到達目標明示型教育プログラムのイメージを醸成することに寄与したと考えている。

　副専攻があれば当然「主専攻」があるはずであるが、副専攻制度導入時の本学には主専攻と呼ばれるものは存在しなかった。全学の教員が副専攻という名称を違和感なく受け入れたのは、従来型の学部・学科の専門教育を当然のこととして主専攻と見なしていたからである。
　しかし、それは正しい解釈ではない。学部・学科のカリキュラムは、旧来型専門教育であり、それを学習成果の観点で整理された学士課程教育に組み替えるには、やはり階段を一段上る必要があった。
　そこで、「主専攻プログラム化」を全学に投げ掛けることにした。学科の教育カリキュラムを「到達目標型」に再編することの意味について、教員の理解を図ることは重要であるが、困難な課題である。そのため、主専攻プログラムの「型式」としての「プログラムシラバス」を作成するという「作業」を行うことを提案した。
　プログラムシラバスは９項目で構成される。（４）が到達目標としての学位授与ポリシー、（５）がアドミッション・ポリシー、（６）がカリキュラム・ポリシーに相当するので、プログラムシラバスの作成・公表により、３つのポリシーに貫かれた教学経営実現への道筋が描かれることになる。
　本学では、現在、プログラムシラバスの作成を進めており、2009年度には主専攻プログラムに支えられる新学士課程教育実質化への一歩を踏み出すことになる。