リーダーズマインド

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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理想の一貫教育をめざしカリキュラムを共同作成

片岡 龍谷大学は高大連携に力を入れていますが、2008年4月から、ついに龍谷大学付属平安中学校・平安高等学校がスタートしました。

若原 高大連携は学生の囲い込みと受け取られがちですが、めざしているのは、育成すべき人間像を共有した上での教育の連続性の確保です。
 平安中学・高校は本学と同じ浄土真宗本願寺派の宗門校の一つで、建学の精神を同じにする学校です。そんな学校同士が協力し、長いスパンで人材を育てようとしたのが出発点です。すでに1995年から教育連携はスタートし、10年かけて両校の先生方が協力・連携し、教育プログラムの開発に取り組んできました。


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片岡 高校のカリキュラム作成に、大学の先生方も参加されたのですか?

若原 そうです。英・数・国・理・地歴・公民といった主要教科に関しては、「教科ワーキンググループ」をつくり、龍谷大学と平安高校の教員が、議論を重ねてきました。
 付属校というのは、どうしても大学教育の先取りというイメージがありますが、そうではなく、中学校の教育は中学校で、高校の教育は高校で、それぞれ完結させた上で大学教育と接続させることに重点を置いています。そのため、高校では、大学での学びの基盤となる学習の動機付けと基礎学力の定着を徹底させています。

片岡 単に受験に対応するためというのではなく、もっと大きな視点で必要な力を身に付けさせるということですか。

若原 そうです。例えば、大学の経済学部は文系ですが、実際は、数学U・Bまでの基礎学力がないと大学の講義についていけません。大学が求める基礎学力を担保する上で、こうした情報を高校と大学の教員間で共有し、そのために必要なカリキュラムを高校で組んでいくのです。中には、教科の枠を超えた科目もあります。
 また、基礎学力の定着のために、早朝テスト(週3回)、ステップアップテスト(毎月)、定期テスト(各期)といったサイクルで、生徒の理解度をきめ細かに測定しています。こうして、生徒一人ひとりの基礎学力をチェックするのですが、このテストの内容も高校と大学の教員が共同で作り込んでいます。
 点数が基準に達しない生徒には補習を行います。

片岡 そのようにしっかりとした基礎学力を身に付けて龍谷大学に入学してきた学生は、どのように伸びていくのでしょうか。

若原 受験にすぐに対応できる知識とは異なるものもあるので、一見、遠回りをしているように見えます。しかし、理論をしっかり身に付けているので、大学に入ってからの伸びしろが大きいという、大学の教員からの評価があります。
 今後は、このような教科の連携だけではなく、キャリア教育に重点を置いた課外教育プログラムも、高校と大学が連携し、開発・実施していく予定です。今後も様々な高校との連携を考えていますが、個々の高校の特色に合わせた双方向(対話型)の連携を通じて、本学独自の高大連携モデルの構築をめざします。


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