学部間の連携、教職連携の深化において、入学者選抜で橋渡し的な業務を担ってきたのが「アドミッションセンター」だ。入試業務は全学部にかかわるため、おのずと学部間の連携を必要としたこと、さらに、教員の発想や戦略と、長年にわたり培われてきた職員の業務ノウハウの融合が、業務の質向上のキーポイントとなったことが、教職協働の成功要因に挙げられる。
　アドミッションセンターは、３つの部門で構成されている。（１）選抜方法に関する研究や開発を進める「研究開発部門」、（２）入試広報の企画立案や説明会の実施を担う「企画広報部門」、（３）AO入試の企画・運営を行うAO入試実施部門、だ。スタッフは、専任教員２人と併人教員3人、および協働する入試課職員は８人。教職員合わせて計13人が連携して業務に当たる。いずれの部門も教職員が分担してかかわり、情報の共有化が図られている。
　アドミッションセンターの日常業務の柱となるのが、選任教員と係長以上の入試課職員が出席する週１回の定例連絡会だ。緊密な情報交換により入試業務が格段に効率化した。さらに、普段から教員と職員が気軽に話し合う雰囲気が生まれるなどの結果をもたらした。
　現在の入試業務は、入試課が複数の原案を教員に提案し、連絡会を通して教員と職員が話し合いながら企画を練り上げている。以前は、教職員が一堂に会する場がなかったため、決定までに時間を要した。今では、無駄が省かれる上に柔軟なアイデアも生まれやすくなったという。
　こうした体制により、互いの職務を理解しようとする意識も高まった。教員が、実現の難しそうな企画を発案した際、不可能だと考えるのではなく、ねらいを汲み取って調整し、「こうすればできる」と提案する職員が増えた。
「教職協働といっても、教員と職員が100％同化しては意味がない。同じ視点で考える『協同』ではなく、役割分担を明確にし、良い意味で互いを利用し合う『協働』の意識が大切だ」と入試課長は説明する。
　こうした意識改革の根底にあるのは、「すべては学生のために」という考え方に基づいている。