オープンキャンパスでは、教職協働の取り組みが光る。以前は職員のみが説明をしていたが、2002年度からは、ライフプランの立て方など、教員による受験生向けのセミナーを実施している。大半の生徒が保護者同伴の参加であることを考慮し、セミナーのテーマには、就職を巡る社会環境の変化や、臨床心理学科の教員による受験生への接し方のアドバイスなどを選んでいる。教員は参加者に対する個別の相談も担当する。
　このように教員参加型の活動を充実させた結果、全教員の約8割がオープンキャンパスの期間内に何らかの役割を受け持つようになった。
　参加者は、内容を一新する以前に比べて大幅に増加し、近年は１日につき約400人。この変化から、「ためになる内容」のオープンキャンパスは好意的に受け止められていると判断している。

　教職協働による広報活動を通し、教員の意識はどのように変化したのだろうか。当初は、「通常業務の負担になる」という理由で敬遠する教員が少なくなかった。そのため、まずは実務の担当を通し、教員による広報の必要性を実感してもらうことから始めた。
　山田副学長は、「最初は私からのトップダウンの指示として取り組ませたこともあった」と話す。その結果、2005年ごろには、大半の教員が「広報活動も業務の一つ」という理解を示すようになった。
　広報活動だけでなく、他部門でも教職協働の機運が高まりつつある。
　山田副学長は、「広報活動は職員のアイデアが生かされる余地が大きく、教職連携の糸口としては最適だ。広報活動を軸として他部門でも連携を進めていきたい」と語る。
　その一つとして、現在、跡見学園女子大学が力を入れているのは、教育研究分野での教職連携だ。2007年度には「教育研究支援制度」を導入した。これは、国際交流のあり方や学術成果の公表の方法、教育研究にかかわる外部資金の獲得などについて、教員で組織している「教育・研究支援委員会」で検討を進めている。ここに担当職員が配置され、その活動をより活性化させる役割を担っている。今後は、この制度をより充実させることによって、教育研究の発展ならびに学外への発信力の強化に結び付けていく方針だ。