より効果的な広報活動の実現に向けて、職員と教員による協働を重視している。以前から入試課の限られたメンバーで高校訪問をしていたが、2001年度には、その規模を拡大し、教職員が分担して全国の高校を訪問する「入試アドバイザー制度」を始めた。自学の教育内容を理解してもらうためには、大学案内を送付するよりも、対面して説明する方がはるかに効果的という考えに基づいている。
　実施初年度に訪問した高校は、約600校だった。年を追うごとにその数は増え、2007年度には、関東を中心に北海道から沖縄まで約1000校を訪れた。全教職員の半数以上の82人がアドバイザーとして活動した。
　訪問先での説明内容は、その年度に伝えたい内容をふまえて入試部が決定。入試アドバイザーを務める教職員を集めて会議を開き、高校に伝えたい内容と意識の共有を図る。
　各高校には年２回、春と秋に訪問する。高校教員との信頼関係を築くためだ。コミュニケーションを重ねられるよう、入試アドバイザーを高校ごとに固定している。
　庶務課広報担当の宮田伸一主任は、「入試アドバイザーは高校で好意的に受け止められている。進路指導の際、教員は自分が教育内容や校風を深く理解している大学を優先的に薦める傾向がある。高校教員に本学を深く理解してもらうことは、受験生の確保にプラスに働いている」と説明する。
　実際、入試アドバイザーの派遣を始めて以来、入学者に対するアンケートでは、跡見学園女子大学を知ったきっかけとして、「教員から薦められた」という回答が増えた。
　入試アドバイザー制度と並行して充実させているのが出張講義だ。それまでも、高校から依頼を受けて実施していたが、より組織的に取り組むため、2002年度に全教員の出張講義の内容をリスト化し、入試アドバイザーが訪問する全高校に配付した。これにより、高校からの依頼が大幅に増加。特に心理学系の授業は人気が高い。
　出張講義は教育内容をじっくり伝えられるため、受験生に効果的に大学をアピールできる。実際、「出張講義が面白かったので跡見学園女子大学を志望した」という入学者は少なくない。
　山田徹雄副学長は、「出張講義の内容によって人気に差が生じるため、教員間に競争原理が働くようになった。普段とは異なる環境で授業を行うことにより、指導法の改善に目を向ける教員が増えたのも喜ばしい効果だ」と語る。