長年にわたる自然科学教育の成果は、2004年度に文系４学部の１年生、３年生と卒業生（卒後５年および10年経過）を対象に行ったアンケート調査の結果に表れている。
　「自然科学科目を履修して良かったか否か」「実験の経験は有意義であったか否か」という設問に対して、肯定的な回答を寄せた学生の割合はそれぞれ９割と８割だった。実験科目の選択理由は「面白そうだったから」が最も多く、講義だけでなく実験を伴うことが科目選択の動機になっているとわかった。
　秋山氏は、「実験科目を履修する前と後では、学生のレポートの書き方が確実に変わる。客観的な事実をふまえた論理構成ができるようになる」と、教育効果を話す。学生が問題意識を持つようになり、自主的に学ぶといった成果も見られるという。
　「文系学生への実験を重視した自然科学教育」は、2005年度の特色ＧＰに選定された。支援期間中の４年間に、補助金を利用して実験科目を拡充。物理・化学・生物の新しい実験テーマの開発と実験マニュアルづくりに加え、数学と心理学についても実験を取り入れたプログラムを開発している。
　さらに、2008年度には、３・４年生を対象とした自然科学の実験科目を三田キャンパスで始めた。これは、2005年度に文系４学部の１〜４年生を対象に行ったアンケート調査で、「３、４年生で自然科学を学ぶ場合に実験をしてみたいか」という設問に、６割以上が肯定的な回答をした結果を反映したものだ。