特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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学生の生の声を重視した定性調査を実施

 教養教育の改革というと、どうしても、リベラル・アーツの先進地域である欧米に範を求めがちだ。しかし、文化、社会情勢、学生の気質が異なる日本にそのまま持ち込んでも、欧米と同じ成果は生まれないだろう。玉川大学では、継続的な学生アンケートやインタビューを通して学生の実態を十分に把握し、課題を浮き彫りにしたうえで、海外の事例を参考にしている。
 「IRの観点からも定量調査は重要だが、学生や高校教員へのインタビューなどの定性調査もおろそかにすべきではない。生の声こそが改革の原動力になる」と、菊池氏は強調する。
 学生を理解することが改革の第一歩であるという基本を、あらためて教えられる事例といえよう。

学生インタビュー


生涯学び続けることの大切さを知った

経営学部2年

中舘心平さん


 玉川大学における3年間の学びを通して最も強く感じるのは、専門以外の分野にも興味・関心を持ち、視野を広げることの大切さです。
 2年生のときに、コア科目の言語表現科目群にある「文章表現」を履修しました。経営学を学ぶ中で、ビジネスパーソンにも、ビジネス文書や手紙を書くための高度な文章作成能力が必要だと感じたからです。コア科目として担任の先生から勧められなければ、おそらく履修しなかったと思います。
 3年次からのゼミで、菊池先生の「地域研究(アメリカ)」を選んだのも、経営学を学ぶうえで地域研究の手法が必要不可欠だと考えたからです。アメリカをターゲットとしてビジネスをするときに、その国の経済、法律や商慣行だけでなく、歴史、文化や宗教などについても調べる必要があります。地域研究の手法自体は、アメリカ以外の国や日本の各地域の調査に応用できますし、ビジネスを幅広く展開するうえでも欠かせない視点だと考えています。
 専門以外の科目や分野に枝葉を広げていく中で、関心のある事柄を自分で調べてまとめる習慣が、おのずと身に付いたと思います。高校時代は少し調べてわかったつもりになることが多かったのですが、専門にかかわる情報はもちろん、趣味に関することまで、これまで以上に深く広く調べるようになりました。
 社会では、マニュアルに従って行動するのではなく、自ら学び続け、知識やスキルの幅を広げていくことが大切になると思います。私も生涯にわたって学び続け、成長し続けていきたいと思います。

※学生は取材当時。

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