安永　2009年４月の聖和大学との合併によって、幼稚園から大学院までの一貫教育が可能になりました。どのような教育をお考えですか。

杉原　聖和大学とはキャンパスが近く、地理的条件の良さもさることながら、聖和大学の母体となった学校の創立に、本学の創立者であるウォルター．Ｒ．ランバスの母、メアリー．Ｉ．ランバスがかかわったという歴史があります。建学の精神の根本に共通点が多く、互いの理想を実現するには、これ以上ないパートナーです。合併によって、早い時期から、一貫したフィロソフィーと連続性のある教育環境の下で、創造性や国際性を備えた人材を育てられると考えています。

安永　一貫教育で注意しなければいけない点はありませんか。

杉原　　閉鎖的になりやすい空間であることを常に意識していないと、世間の荒波にもまれず、ひ弱になる可能性は否定できません。一方、高校の進路指導では、資質的に理系に向いている生徒にも、数学の成績が悪いというだけで文系学部を勧めることがあると聞きました。偏差値重視の進路指導では、グローバルかつ分野横断的な視点で物事をとらえられる人材を育てることが、難しいのではないでしょうか。
　学生の意欲を喚起し、後押しすることさえできれば、あとは学生自ら前進することができるのではないかと思います。それは勉強だけとは限りません。スポーツ、文化活動や社会奉仕にも積極的にかかわることによって、協働の大切さや喜びを実感し、自分の成長につなげてもらいたいのです。受験テクニックや目先の偏差値に気を取られず、のびのびと学院生活を送ってほしいと考えています。

安永　聖和大学との合併に伴い、教育学部を設置されます。

杉原　一貫教育の実現を機に、本学がめざす教育を具現化できる教員を自分たちで育てたいと思います。ランバスは教育者でしたから、関学にとっても教育者の養成は、ある意味で必然的なことといえます。