IR 数値はこう読み解く

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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大学の関与の分析は数値だけでは不十分

 本意入学者でも不本意入学者でも、在学中に多かれ少なかれ大学の関与(大学や教職員による学生指導や学生支援)を受けることになる。大学の関与には、各種プログラムや、教職員による親身な相談対応・助言が含まれる。IRでは、本意入学者、不本意入学者、消極的退学に傾く学生、積極的退学を希望する学生、それぞれに対する大学の関与の状況を調査・分析する必要がある。
 参考までに、愛媛大学では、新入生セミナー(初年次教育)実施、キャリア支援専任教員配置、学生支援専任教員配置、医師・看護師の専任配置、「学生何でも相談」窓口の設置など、事務担当部署と連携しながら対応している。このような体制を確立した結果、2003年度に2.2%だった退学率を2007年度に1.6%まで減らすことができた。これらの施策の詳しい状況は、現場の教職員だけが知るのではない。教職員で構成する教育企画室の会議を通じ、教育担当教職員やIR担当教員がいつでも事情を聞ける体制が整っている。
 大学の関与の度合い・質については、数値的データだけでは十分とはいえない。IR担当者が現場の声を聞く機会を多く持てば、客観的な判断や改善のための支援につなげることが可能となる。


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