特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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キャリア発達に対して学校教育が持つ意味

 自分に期待される複数の役割を統合して、自分らしい生き方を展望し、実現していく過程がキャリア発達である。このキャリア発達を、生涯にわたって、各時期に応じて支え、促進することが、広義のキャリア教育の課題であるが、特に、それを学校教育との関連で展開することが求められる。
 学校教育との関連でキャリア教育を展開するとき、学校教育がキャリア発達に対して持つ意味が問われる。学校教育と社会・職業との間が一人ひとりにとって有意義につながることによって、キャリアが形成され、さらにその先へとつながっていく。そのとき、社会と連接する最終学校段階だけが問題ではない。小中高大全体が問題なのである。その意味で、学校種間の接続が重要なのであり、それぞれの学校段階でキャリア発達を促すことが重要になる。
 キャリア発達は、社会認識と自己認識の結合としての自己理解・自己決定・自己統制と、それを通して形成される有能さ(コンピテンス)の形成過程ということもできる。ある時期における自己理解・自己決定・自己統制とコンピテンスが、次の時期におけるそれらの基礎となり、さらに、その後の段階へと続く。
 自己理解・自己決定・自己統制は、自己認識と社会認識の発達に基礎付けられている。自分が生きる社会をどうとらえ、その中で自分をどうとらえているかが問題となる。これが、小学校、中学校、高校、大学でどう発達していくのか。具体的な行動を通してその発達をどうとらえるか。そうした発達的枠組みによって、小中高大におけるキャリア教育の構造化が必要であり、これも、キャリア教育の大きな課題である。

大学のキャリア教育の現状

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