立正大学のルーツは、1580年に設立された日蓮宗の教育機関「下総飯高檀林」にまでさかのぼる。建学の精神は「真実を求め、正義を尊び、和平を願い、人類に尽そう」。これは1961年、当時の石橋湛山(たんざん)学長が、日蓮の言葉をわかりやすくとらえ直したものだ。
2004年度には、この建学の精神をふまえたブランドビジョン「『モラリスト×エキスパート』を育む」を策定した。仏教精神に根差したモラルと高等教育による専門性を兼ね備え、モラルによって知識や技術を使いこなせる人材を育成したいという理念が込められている。
背景には、20世紀末から続く物質至上主義の世界観がもたらしたモラルの低下や環境破壊などがあるという。岩本俊郎学長補佐は、「高等教育機関として、これらの課題に対応できる人材を育成するのが、本学の社会的責任だ。建学の精神に立ち返り、本学が現代社会に果たすべき役割を明確にした」と説明する。
建学の精神に込められた東洋的価値観によるケア(修復)の思想によって、人間・社会・地球の関係性を修復する視点を「ケアロジー」という造語で表した。ブランドビジョンの下、ケアロジーを実践できる人材育成をめざす。
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