特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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独自性についての内と外からの問いかけ

 「あなたの大学の独自性や建学の精神は何か」という問いは、外側と内側から来ている。
 外側には例えば文部科学省がある。大学教育推進プログラムなどへの応募の際、「申請されたプログラムは、貴学の個性や建学の精神とどのように結びついているのですか」と、必ず問われる。他方、受験生や父母らも、昔と比較にならないほど強い関心を持っている。大学案内や入試案内などの担当者は、大学の特色や独自性を表現するのに必死である。
 内側からはどうか。一般入試その他さまざまなシステムで入ってきた新入生はもちろんのこと、2年次以上の学生すら、放っておけば、それらのことに関心を持つ者は少ない。学習や就職活動、生活など、自分自身の問題を追うのに精一杯で、大学自体のことを考える余裕もない。何はともあれ合格したのだから、差し当たっての必要もない。
 教職員はどうか。職員の中にも、自分の勤務する大学についてよく知らず、よそも同じようなものではないかと思っている向きが少なくないようである。教員はもっとひどい。もともと、大学院修了後の「就職先」の一つと思ってやって来た。研究条件や教育条件などが問題であって、「この大学」がどんなところであるかという関心そのものを持たない向きが大部分だと言って、言い過ぎではない。


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