こうした意識の向上は、学習意識調査の結果にも表れている。事前・事後で比較すると、大学生活に対する楽観層と極度の悲観層が、それぞれ5%減少した。大学の授業と将来のキャリアを結びつけて考えられるようになった受講生も増え、大学で学ぶ意義を入学直前に認識させることができたといえる。
課題は、入学後のフォローと、初年次教育との接続だ。プログラムで成果が出ても、「大学がつまらない」「合わない」「学習についていけない」など、入学後にモチベーションが下がると、いずれ退・怠学につながる可能性が高いからだ。
学内には、学生が気軽に学習相談できる「学習支援センター」や、悩み事などを相談できる「なんでも相談所」など、学習・生活両面での個別支援体制が充実している。さらに、2008年度には、成績不振者や欠席しがちな内部進学者を対象に、本人、保護者、教員、附属高校教員の4者面談も始めた。こうしたシステムを生かし、入学後も内部進学者を支援する考えだ。現在、受講生の入学後の追跡調査も実施している。
プログラムの改善も図る。アンケート調査によると、学内ツアーなどの参加型・体験型プログラムの満足度・理解度は高い。一方、大教室での講義形式によるプログラムは満足度・理解度ともに低く、情報や知識を伝えるだけでは行動に移せない傾向が強いことが判明した。
学習意識の向上を行動につなげやすくするために、2010年実施予定のプログラムでは、少人数での双方向型授業を取り入れる方向で検討している。レポートの書き方や話し方、履修登録の仕方、社会でのマナーなど、課外活動も含めて学生生活をスムーズに送るための授業を充実させる。eラーニングでの予習と対面授業とを組み合わせ、大学での学びのサイクルを体験させる予定だ。
|