設立のきっかけは、2002年に大阪商業大学が主催した「全国高等学校ビジネスアイディア甲子園」の参加校の教員から、起業教育に関する情報交換の場をつくってほしいとの要望を受けたことにある。当時、多くの高校は、2003年度の「総合的な学習の時間」の導入を控え、問題解決能力やコミュニケーション能力の育成方法を模索していた。教科学習のような学習指導要領や教科書がなく、指導体系が確立していない中で、実践的な情報が求められた。
起業教育委員会委員長の酒井理准教授は、「総合学習やキャリア教育の一環として、本学の起業教育に当たる指導が高校でも行われるようになっていた。しかし、高校には実践の蓄積が少なく、他校の指導例の情報を欲しがっていた。高校教員の交流の場をつくれば、本学の経験や情報を提供しつつ、高校との連携がさらに深まると考えた」と話す。
研究会は、2003年2月の第1回以降、年1、2回開き、2009年8月で13回になった。参加者は、商業科、工業科、普通科高校などで起業教育を実践している教員。案内状を全国のすべての高校に送付して参加者を募る。参加費は無料で、交通費は原則的に自己負担だ。北海道や九州からの参加もある。
研究会の企画には、大学側だけでなく、高校教員7、8人もかかわる。実践報告をする高校、講演会の講師など、高校にどのようなニーズがあるのか、意見を出す。2009年8月の研究会では、ワークショップを2つに分けた。リピーターの高校教員向けにレベルの高い内容のワークショップも設けるためだ。また、高校から「中学校とも連携したい」との要望があり、初めて、大阪府の中学校に参加を呼びかけた。
事後アンケートでは、「非常に参考になった」「ある程度参考になった」との回答が、毎回8割を超える。特に普通科高校の教員にとっては、同様の場がなく、高校教員のネットワークづくりに役立つようだ。
2008年度開催分は、「起業教育研究会報告書」としてまとめ、2009年度の開催案内とともに、全国の高校に配付した。 |