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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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卒業生と在学生が 災害時の救援活動で協力

 日本福祉大学の同窓会の結束は固く、卒業生の連絡先の捕捉率は8割近い。その鍵を握るのが、年間2回の会報の発行だ。大学のニュースや同窓会予告・報告、投稿などを、毎号約50ページの誌面で伝えており、2008年には100号を数えた。これが卒業生に広く読まれ、転居の際には事務局に一報が入るという。
 大学は、同窓会に事務室を提供し、3人の職員を派遣して活動をサポートする。個人情報取り扱いのルールを守りつつ、連絡先をはじめとする卒業生の情報を、大学が同窓会と共有できるしくみが大きな強みだ。
 大学職員で同窓会事務局長を務める守谷淳子氏は、「大学と同窓会は車の両輪。大学はセミナーや講演会の開催を通して卒業生の成長を支援し、卒業生から大学へ教育・研究の資源がフィードバックされる」と話す。
 大学と同窓会の連携の中でも特に教育の特色が表れているのが、災害時の救援活動だろう。阪神・淡路大震災の際には、大学が被災者支援センター(現・日本福祉大学ボランティア情報交流センター)を、新潟県中越地震の際には、大学と同窓会が協力して災害復興支援センターを設置。すぐに現地の卒業生に連絡を取り、安否を確認するとともに、不足物資や安全な交通経路などの情報を集め、学生ボランティアに伝えた。同窓会員は、支援スタッフの紹介を行うなど、学生の活動の後方支援を担った。こうした活動を通して卒業生と学生が福祉を学ぶ意義を確認し合ってきたという。
 同窓会は就職面でも学生を強力にバックアップしている。1996年から毎年、全都道府県の卒業生が名古屋キャンパスに集まって実施する就職相談会には、学生の大半が参加。実習先の手配でも同窓会員が活躍する。
 学生募集においても、同窓会員による推薦制度を設けている。通信教育部の「学費等減免制度」は、同窓会員の推薦がある場合、1万円の入学選考料を無料とし、3万円の入学金を半額にする。同窓会員の推薦による通信教育部の入学者数は、2004〜2009年度の累計で1700人を超える。
 大学にとって、教育の方針、内容を理解した卒業生からの紹介によって、熱意をもった学生を確保できるというメリットは大きい。

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第100号を迎えた2008年3月20日発行の同窓会報。創刊号は、同窓会設立2年後の1957年8月に発行された。

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