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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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主体的選択を前提に例示された大学の機能

 具体例を挙げてみよう。将来像答申に具体的に書かれている「大学の機能別分化」では、大学の機能の例として、7つが挙げられている。しかし、これらのうちのどれかを選びなさい!と答申が命令しているわけではない。答申には、これからの時代には各大学が自らの機能について熟慮し、自分の道を自分で決めてほしいという趣旨のことが、機能の例示とともに書かれているだけだ。
 第2期中期計画の実施に入った国立大学法人は、7つの機能例示のうちどれか、あるいは複数を選ばざるを得ないような立場に立たされているが、公立大学や私立大学にはそのような縛りはない。国立大学にしても、中期目標は文科大臣から与えられる形式になっているとはいえ、実際には自らの道を決めるのに相応の自由度を持っている。
 筆者には機能別分化についての質問や意見が多数寄せられるが、その大半は、「政府が大学に機能別分化をせよと命令するのは大学の自治を侵すものだ」という被害妄想症候群、「答申の機能別分化のどれを選べばいいのでしょうか」という何でも服従症候群、あるいは「文科省は何をやりたいのかわからん」という理解拒否症候群のどれかである。もちろん、どれも誤りだ。

将来像答申で例示された大学の機能

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