特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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高大で共有すべき 教育の連続性の重要性

 次に、2008年10月にベネッセ教育研究開発センターが大学生を対象に実施した調査を見ていく。
 転学部・転学科を希望するかという問いに対して、32.4%の学生が自分が所属する大学の中で学部・学科を変更したいと思っている。他大学への再入学に関しては、45.7%もの学生が大学に入り直したいと考えている。
 だからこそ、大学での適応度が低い要因はどこにあるのかを、高校側と大学側の双方で十分検証する必要がある。まず、高校側の指導の留意点として「大学全入」時代を控え、大学進学のハードルが下がったことによる安易な進路選択を戒めることだ。

大学での適応度
出典/Benesse 教育研究開発センター「大学生の学習・生活実態調査」(2008年10月実施)

 大学側には、不本意入学の学生を入学後に意識改革させること、さらに不適応を感じる学生を早期に発見し、個別に支援・フォローすることが求められる。
 高校生の進路選択時に、学部・学科の詳細な情報が共有され、その情報の下に適切な進路選択・指導が行われれば、こうした結果は軽減されるはずである。
 今こそ、高校と大学の教育(学習・進路指導)の連続性の重要さを認識して、可及的速やかに「高大の連携」を図るときではないだろうか。
 また、同調査における「大学満足度」を見る。「とても満足している」と「まあ満足している」を足すと、「施設・設備」(76.0%)、「大学全般」(64.1%)、「教員」(53.1%)については5割を超えているが、「授業・教育システム」(49.5%)と「進路支援体制」(49.5%)は5割に満たない。「授業・教育システム」に含まれる指導方法、カリキュラム等の改善は、現在さまざまな大学で取り組みが展開されているところであるが、学生側にその成果が十分に評価されていない状況が考えられる。


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