2000年から段階的に始まった「総合的な学習の時間」を契機に、高校での進路学習は一気に広まり、この10年で定着した。将来、どのような職業に就きたいか、大学で何を学びたいかを考えたうえで、大学・学部・学科の調べ学習をする。志望校の候補に挙がった中から、入試難易度と自分の偏差値を照らし合わせて絞り込む。入試日も考慮して、最終的に受験する大学を決める。この進路指導の過程は10年間、変わっていない。
その結果、生徒は就きたい職業や学びたい学問を考えて、志望校を選ぶようになった。例えば、「新潟大学だったらどの学部でもいい」という生徒は、よほどのことがない限りいない。
進路選択に近年、変化が見られるのは、受験校の数だ。経済不況の影響があり、私立大学専願者でも受験するのは5、6校が標準だ。国公立大学志向は相変わらず強いが、あまり遠方の大学を選ばなくなった。入学後の生活費もさることながら、受験費用の問題があるからだ。
私は、生徒の精神的・体力的な理由から、「首都圏の私立大学を受験する場合は2泊3日を2回まで」と指導する。入学手続き締め切り日を考慮して、志望順位もあらかじめ決めておくように、生徒と保護者に伝えている。 |