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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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「一足早い入学生」が新学部の情報を発信

 高校生の視線で展開する広報の例が、2010年度新設の総合社会学部のシンボルキャラクター「ブライス」。1972年にアメリカで誕生したこの人形の特徴は、大きく見開いた目だ。
 新学部の広報戦略を策定するにあたり、入学センターでは、どのような募集広報をするのか、教職員がワークショップ形式で意見を出し合った。歴史上の偉人が学部紹介をするといった案もあったが、洗練されたイメージで10代の女性の間での認知度が高いブライスの起用を決めた。年齢が高くなるにつれ認知度が低くなっていくことも、高校生に「自分たちへのメッセージ」と受け取ってもらえるプラス要素と考えた。
 「人形の大きな目が、『社会を見つめるチカラを磨く』という学部のコンセプトに合致した。全学部統一のキャラクターを用いる大学も多いが、医学部や文芸学部など12学部を擁する近畿大学が、全学部の特徴を1つのキャラクターで表現するのは難しい。学部単位にするほうが、高校生に、より具体的に中身をイメージしてもらえる」と世耕事務長は説明する。
 ブライスは総合社会学部の「0期生」という設定。新設学部は「新しさ」を魅力として打ち出すことができる半面、先輩がいないため、学生の視線からは魅力を伝えることが難しい。そこで、ブライスが一足早く入学したという想定で、授業やキャンパスライフなどのバーチャルな体験をブログ、近大生ブライスの「キャンパスダイアリー」で発信。社会を見つめるブライスの視野が広がっていく様子を伝えつつ、高校生にキャンパスライフを疑似体験させるねらいがある。
 教員が執筆する文章で教育の中身を紹介するのではなく、高校生と等身大のキャラクターが語りかけることによって、リアリティーを高める工夫をしているといえる。


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