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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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アンケート結果を分析し募集広報に反映

 大阪、和歌山、広島や福岡などにある附属高校や提携校も、広報戦略の策定に欠かせない情報の宝庫だ。入学センターは、2008年に附属高校と提携校の協力の下、約2000人の高校生を対象にアンケート調査を行った。知っている雑誌、よく見るウェブサイトや携帯サイトなどを聞き、広告媒体の選定に反映している。
 また、資料請求してきた10万人のデータも貴重なマーケティングデータだ。都道府県単位の増減を毎月確認しながら、募集戦略に役立てている。
 オープンキャンパスに訪れる年間約2万人の高校生にもアンケートを実施し、徹底的に活用する。最も重視するのは、「何を見てオープンキャンパスに来たのか」だ。この結果は、広告媒体選びの判断材料となる。「受験生の動向を調べるには、予備校や受験雑誌などのデータもあるが、本学の現状や課題を把握し、具体的な改善につなげるには、独自に収集したデータが何よりも重要だ」と世耕事務長は言う。
 オープンキャンパスのアンケートでは「どの学部に興味を持っているか」も質問。そこで全体に占める割合が低い学部については、各学部の事務長や学部長にデータを提供。同じアンケートから関心度の低さの要因を分析し、対応を促す。例えば、文芸学部は、2009年、学生向けに発行している卒業生の就職体験記を高校生にも配布し、「文芸学部は就職先が限られるのではないか」という不安の解消に努めた。
 世耕事務長は「キャラクター戦略や募集要項の改善だけでは、大学のブランド力は向上しない。まずは、大学への興味を引き出し、オープンキャンパスなどに参加してもらい、できるだけ多くの高校生を出願へと導くことをめざしている。地道な努力を積み重ねていく中で、おのずとブランド力も向上するのではないか」と言う。
 常に高校生の立場に立ち、独自に集めたデータを徹底的に活用する。このような姿勢が組織内に浸透しているからこそ、志願者の心をつかむPRができ、安定的な志願者獲得が可能になるのだろう。


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