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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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支援されるだけでなく支援する学生を育成

 学生に自主性を伸ばすチャンスを与え、自らも他者を支援できる人材を育てようとする取り組みも行う。
 代表的な取り組みは在学中や卒業後にリーダーの役割を担う人材を育成する「愛媛大学リーダーズ・スクール」(ELS)だ。共通教育でのリーダーシップ関連授業に加え、希望者はゼミ、合宿研修、プロジェクト学習などを3年間履修し、修了者には独自のELS資格を認定する。
 副機構長で教育企画室長も務める小林直人教授は、「ELSを受講できる学生数は限られているため、効果の高かったプログラムを初年次教育や教育手法の開発に生かしている」と話す。中上位層を伸ばすことにより、大学全体を活性化するねらいもある。
 「スチューデント・キャンパス・ボランティア」は、教職員の支援を得て、学生が後輩や障害のある学生、留学生などを支援する制度。9つの団体が公認を受け、活動している。学業や課外活動で優秀な成績を修めた学生を対象とする「学生表彰」、サークル活動を評価に応じて支援する制度なども始めた。また、学習環境の改善およびキャンパスライフの向上に関することを学生自らが協議し、学長に提言することを目的に、学生代表者による「学生代表者会議」を組織している。
 小林教授は「学生中心といっても、甘やかしているわけではない。多くの学生にチャンスを与え、成果を挙げれば評価して支援する。学生の自律・自主性を重んじるのが基本的な考えだ」と強調する。自ら他の学生を支援できる学生を育成・支援することで、より「学生中心」を実現したい意向だ。

写真
「愛媛大学リーダーズ・スクール」の授業の様子。

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