リーダーズマインド

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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創立125周年に向けて質保証システムを構築

写真 安永 2012年の創立125周年という節目にあたり、この先どのような大学をめざすお考えでしょうか。

竹村  円了先生は「館外員制度」という、今日の通信教育に相当する教育方法を導入するなど、時間的・経済的に制約のある人々に広く学習機会を提供することにも努めました。少子化などの影響で夜間学部を廃止する大学が増えていますが、本学は創立者の精神を継承し、イブニングコース、通信教育やエクステンション活動などをさらに充実させます。
  また、ここ数年、学部・学科の新設や改組、キャンパスの整備などを積極的に進めてきました。これらの改革により教育・研究体制が整備されつつありますので、今後はより一層の質の向上をめざします。

安永 具体的な方策をお聞かせください。

竹村  まずは建学の精神の共有です。建学の精神を明確化し、それに基づき各学部で人材育成の目的・教育目標を策定し、アドミッション、カリキュラム、ディプロマの各ポリシーを意識した教育を実践します。
  もう一つは、教育・研究の質保証システムの構築です。各学部・研究科の活動がそれぞれの目的を達成しているかをチェックする自己点検・評価システムの確立が重要になるでしょう。学部・学科など組織の評価、教職員の個人評価に加えて、卒業生による大学の評価も重視したいと考えています。在学生による授業評価は重要ですが、それはあくまで短期的な評価です。卒業して10年、20年たった卒業生の声を丁寧に拾い、中長期的な視野で自己評価できるしくみをつくりたいと思います。
  全力を挙げて高度な水準の教育・研究を維持できる組織・体制の確立に取り組み、学生が「東洋大学の授業を受けてよかった」「東洋大学で成長できた」と実感できる教育・研究を実現させます。

安永 本日は貴重なお話をありがとうございました。

大学と地域を哲学で結ぶ「哲学堂公園」
 東京都中野区にある哲学堂公園は、1904年、井上円了が市民の精神修養の場として造営した公園だ。釈迦、孔子、ソクラテス、カントを祭った四聖堂を中核として設置。その後、聖徳太子や菅原道真ら「東洋的六賢人」を祭る六賢台など、独自の建築物に加え、散策路が整備され、市民の憩いの場として親しまれてきた。

 2009年2月には東京都の名勝に指定された。同年12月には「日本・ハンガリー外交関係開設140周年・国交回復50周年」を記念して、ハンガリー共和国から、世界の思想家・哲学者11人を彫刻でかたどった「哲学の庭」が寄贈された。

 円了の遺産は、今も大学と地域・世界を哲学で結ぶ懸け橋となっている。
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六賢台(右)と四聖堂(左)。
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哲学の庭。

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