次に、合格から入学までの継続的な学習についてである。文科省の変更予定事項には、「各大学は、アドミッション・オフィス入試に限らず、すべての入試方式について、入学手続きをとった者に対し、必要に応じ、これらの者の在籍高等学校と協力しつつ、入学までに取り組むべき課題を課すなど、入学後の教育のための準備をあらかじめ講ずることが望ましい」とある。
高校教員に、推薦・AO入試で早期に進路が決まった生徒に対し、高校卒業まで勉強させるようなしくみを大学と共同して検討する必要があるかを尋ねたところ、「とてもそう思う」が34.2%と高く、「まあそう思う」と合計すると75.4%に上る(図表11)。
入学前のフォローを高校、大学のどちらか一方が行うというのではなく、共同ですることを望んでいる。推薦・AO入試が終われば、高校教員はすぐにセンター試験や一般入試に向けた指導に入るために、推薦・AO入試による早期合格者に対する学習指導等がなかなかできないのが現状である。最近では、推薦・AO入試合格者に対しても、学習意欲と学力の維持のため、センター試験を受験させる高校もある。このことについて、高校教員調査で検証した結果、進路指導方針として「推薦やAO入試で合格した生徒にも、センター試験を受験させている」は、「あてはまる」が22.8%、「ややあてはまる」が21.1%で合計43.9%であった。
センター試験を推薦・AO入試合格者にも受験させることは、同じ目標に向かって全員が勉強を続けるという雰囲気づくりに有効といえる。しかし、センター試験本来の目的からそれる受験者が加わることによって、試験の精度を低下させる問題も含んでいる。
推薦・AO入試で早期に進路が決定した生徒に継続的な学習を促すためには何をすべきかという本質的な議論を、高校と大学が始めなければならない。
|