「データで考える子どもの世界」
特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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[CASE3]

内部進学者の学力と意欲の向上に向け
付属校と連携して入学前教育を実施


東海大学

東海大学の入学者の約3割は、付属推薦入試による内部進学者だ。
入学前のeラーニングプログラムを自前で開発、きめ細かくフォローしながら実施し、
内部進学者の学問への興味・関心を高め、基礎学力向上にもつなげている。

入学者の半数は学力試験なしで選抜

 19学部80学科・専攻・課程を擁する東海大学では、入試方式も多様で、学部入試だけでも10種類以上に上る。これらは、一般入試やセンター利用入試などの学力選抜入試、AO入試、および公募制や指定校、全国に14ある付属校などからの推薦入試の3つに大別される。
 約7000人の入学者のうち、学力選抜入試を経る者は約半数だ。残る半数のうち約2000人は付属推薦入試による入学者で、全体の約3割を占める。

主な入試方式一覧

 20年ほど前から、全新入生を対象に「基礎学力テスト」を実施。理系学部は英語と数学、文系学部は英語と国語を課している。この結果を分析すると、従来、学科ごとのばらつきはあっても、入試方式別の大きな学力格差は見られなかった。ところが、近年、理系学部の一部で、推薦・AO入試による入学者については、英語と数学の成績が他の方式による入学者より悪い傾向にあることが判明した。進路の早期決定により、緊張感がなくなることが原因として考えられる。
 特に内部進学者は、文系志望だったにもかかわらず、成績によって理系学部に進学するケースもあり、学習していない単元の学力が不十分になりがちだ。入試方式の多様化は、学習歴が多様な学生の受け入れにつながっており、そこにどう対応するかが課題だった。そこで、授業に必要な基礎学力が不足しがちな層を対象に、入学前の個別ケアに力を入れることにした。まずは、高校側の協力を得やすい内部進学者の入学前教育に着手した。


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