編集部 大学側はどのように活用すればよいのでしょうか。
佐々木 外形基準によって学力を担保した推薦・AO入試、書類や面接と組み合わせた欧米型の選抜が可能になります。ただ、1点きざみのスコア比較は意味を持ちませんから、何点以上を合格にする、といった水準を設けたりすることもあるでしょう。アメリカでは、ACTのスコアに加え、高校の調査書や面接、推薦書類などにそれぞれ所定の係数を掛けて、アドミッション・オフィサーが合否を決定します。何をどのくらいの割合で評価するかは大学によって大きく異なります。日本もそのような選抜になっていくでしょう。
編集部 選抜のためのテストではないとはいえ、結果的には選抜のために使われないでしょうか。
佐々木 選抜の材料にはなると思います。これまではアドミッション・ポリシーに基づくというより、個別の学力試験による選抜が中心でした。センター試験のみによる選抜の場合、なぜその科目を課すかという説明しかできません。高大接続テストを使えば、本来のアドミッション・ポリシーに基づく選抜ができます。
編集部 大学入試のあり方を根本的に変えるテストになりそうですね。
佐々木 そうなると思います。一部の大学は個別の学力試験を残すと思います。そのとき、基礎的教科・科目のミニマム・リクワイアメント(最低基準)をクリアさせる高大接続テストがあれば、合理的な論述式の少数科目入試が可能になります。
編集部 センター試験とは性格の違うテストということですが、センター試験はどうなるのでしょうか。
佐々木 経過報告では、センター試験改革にも触れましたが、センター試験を含む入試改革が必要です。ただ、議論はこれからということになります。
編集部 テスト結果は大学のリメディアル教育にも生かせそうですね。
佐々木 多くの教科・科目の学力を把握できるので、可能でしょう。
編集部 開発はどのようなプロセスで進めるのでしょうか。
佐々木 高校・大学の関係者が共同して研究開発を進める必要があります。「経過報告」をきっかけに実現に向けて動くことを期待しています。今年9月には文部科学省に「報告」を提出する予定です。 |