特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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AO入試のプロセスで高校のサポートを期待

 本学のAO入試<レポート型>を具体的に見ていこう。エントリー希望者に対しては、オープンキャンパスで事前面談を行い、エントリー許可を出す。合格決定まで一定の期間を要するため、まず、根気強く取り組む意欲や積極性があるかを見るのである。エントリー者には初回の面談でレポート課題を出す。その後、レポートに基づく複数回の面談を経た願書提出許可を「内定」と呼んでいる。内定者の出願を受け、合格を決定する。6月にエントリーを開始し、最初の内定が出るのは9月、出願は10月から受け付ける。
 既卒者を含めて、受験生の高校とは緊密に連絡を取るようにしている。高校での学習や生活の態度をアドミッションセンター職員が聞き取る。面談が終わると高校に連絡をする。受験生がどのような課題に取り組み、大学から見て何が足りないと考えているかを伝える。ここには、受験生を高校と大学で一緒に育てようという意図がある。受験生はレポートを書いた経験があまりないので、時に投げ出したくなるのを、高校側にもサポートしてもらう。
 面談では教員が時間をかけてじっくりと受験生と向き合う。それにより興味や関心を引き出すことができる。各種調査が示しているように、勉強はつまらないと感じている高校生が多い。AO入試を通じて、大学での教育・研究の本質に少し触れ、興味を持つようになるのである。
 本学では、それを「リセット、リスタート」と呼んでいる。受験生が持つ固定観念を崩し(リセット)、そのうえで大学での学びに向かわせる(リスタート)ことを、高校から大学への接続の期間に行ってしまおうと考えているのである。大学の授業の聴講など、制度としての高大連携も大切であるが、一人ひとりの学びを高校から大学へと接続させる高大連携こそが必要だと考えている。あまり強調はしていないが、個人的にはこれが日本型AO入試の本質であり、可能性を示すものではないかと考えている。


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