大学連携が生む地域の活力

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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学生と住民が共同し地域の課題にアプローチ

 地域連携を強化する取り組みも活発に行っている。中心となるのは、地域が抱える課題に対し、高等教育機関の研究室と地域住民が共同して解決への方策を探る「地域課題研究ゼミナール」だ。課題は、地域からの公募によるものと、高等教育機関の提案の中から決める。ゼミを開く研究室には30万円程度が支給され、調査・研究の結果を発表する報告会も開催される。
  2009年からは、複数の高等教育機関が協力して一つの課題に取り組む連携枠のゼミがスタートした。例えば、地域文化の継承を目的とした「キリコ祭り」の研究では、それぞれの高等教育機関の学生がゼミでの研究分野に沿ったフィールドワークを実施。金沢美術工芸大学の学生が「キリコ絵」の絵画を制作、金沢大学の学生が旅行会社と連携してシニア対象の旅行を企画、石川工業高専の学生が祭りの調査やパネル展示などを行った。多様な研究テーマに取り組む中で、課題解決に結びついた例もあり、地域社会の関心は高まりつつある。2006年は5件だった地域からの課題提案数は、2009年には35件に増えた。
  古畑教授は、「課題解決のためには、現状を分析してアイデアを出し、コストも考慮しながら現実的な対策を講じる必要がある。その過程では、地域住民とのコミュニケーションも重要になる。研究を通して、学生には自ら考えて実践する力が身に付く」と評価する。


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