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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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能力評価の基準や方法に3割の企業が問題意識

 学生の能力の把握について、企業はどんな課題・問題意識を持っているのだろうか。

図表4:採用時における能力把握の課題・問題点[企業調査]

 図表4は、採用時の能力に関する課題・問題点を複数回答で聞いた結果である。最も高かったのは、「学生が持っている能力をきちんと把握する時間・コストがない」(33.4%)だ。面接で能力を多面的に評価するには、複数回の実施が不可欠である。そのための時間やコスト、評価者の人選等に問題を抱えている企業が多いことがわかる。次いで、「学生の能力の評価基準が評価をする人によってバラバラである」(32.9%)、「評価したい学生の能力をきちんと測定する方法がない」(31.9%)、「大学の学生情報と実際の学生の能力が一致しない」(30.5%)が上位であった。長期化する就職活動に疲弊する学生、ミスマッチによる早期離職者の増加の背景には、このような問題があるのではないだろうか。
 従業員規模別に見ると、1000人以上の大企業では、「学生の能力の評価基準が評価をする人によってバラバラである」(45.7%)が高い。一方、499人以下の企業では、「応募人数が少ないため学生の能力による選抜まで十分にできない」(33.0%)が高い。
 経済産業省によると、2011年4月入社予定の大卒者の求人倍率は、大企業(従業員1000人以上)が0.6倍なのに対し、中小企業(同300人未満)は4.4倍であった。この倍率差は以前より縮小しているが、まだまだ格差が大きいのが現状である。中小企業は採用活動にあてる費用や人材が足りず、学生への認知拡大が難しい。結果的に、学生は大企業にばかり目を向けがちだ。
 大学は、中小企業の情報も積極的に集めて学生に提供すべきではないか。そのためには、中小企業の人材ニーズや採用における課題について理解する必要がある。


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