特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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産学による対話の場の恒常的な設定が必要

 コーオプ教育の大きな課題を、以下に4つ挙げる。

  1. 産学による基盤づくり:企業と大学が対等の立場でパートナーシップを構築し、人材育成の目標を協働して設定することが必須で、最も重要な点である。目標達成のために、実践のあらゆる段階において、産学が緊密に協働する。そのための対話の場を恒常的に設定する必要もある。
  2. 学内の組織体制づくり:大学の教育としての確たる位置付けと、教職員の適切な配置が重要。「組織化された教育戦略」として取り組むためには、大学が組織的に関与し、資金・人材を投入する必要がある。
  3. プログラム開発と改善:コーオプ教育は単に「企業に学生を派遣するプログラム」ではない。目標とする人材に必要とされる知識や態度・意識を企業側が提示し、それを実現させるプログラムと指導方法を協働で開発。さらに、プログラムの評価も産学で行い、次のカリキュラム改善に反映することが必要だ。
  4. 専門人材の育成:コーオプ教育を推進する専門人材の育成、確保、拡充は不可欠だ。例えばアメリカには、運営するための専門人材として、“Co-op Faculty”(コーオプ教員)が存在する。その業務内容は、学生の指導はもちろん、企業開拓と連携強化、学内の情報交換・調整、カリキュラム開発・改善等と多岐にわたる。これらの業務を遂行するには膨大な労力、および教員的素養と職員的素養、さらにプロジェクトマネージャー的能力も要求される。

 こうしたさまざまな素養を兼ね備えた専門人材が存在し、初めてコーオプ教育は有機的に機能する。


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