特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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MBA課程に近いカリキュラムモデル案

 WGでは、観光産業界からの意見をふまえ、さらに観光経営について先行する教育研究を行っているアメリカの大学をモデルに、観光人材の育成のためのカリキュラムを練ってきた。それが「観光経営マネジメント人材育成のためのカリキュラムモデル案」(図表)である。まさに伝統的な商学教育、特にMBA(経営管理学修士)課程に近いものであることがわかるだろう。

観光経営マネジメント人材育成のためのカリキュラムモデル案

 今後は、観光産業界の側からより具体的な人材像が提示され、それに個別の大学が応じる形で、産学官連携による教育カリキュラムの開発を行っていく予定である。
 観光産業界と大学の対話における今後の検討課題の一つが、国際人事管理に精通した人材の育成である。政府による「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を推進し、日本を魅力的な観光地にするには、外国人を雇用し、その視点に基づく情報の発信やサービスの提供を行うことが必要となるからである。そのためには、多様な国籍の人材を一括して管理する手法が求められる。すでに製造業などでは、国際人事管理の手法が開発されている。観光業においてどのように取り入れていくべきか、検討が急がれる。
 WGでは、インターンシップの活用も盛んに議論されているが、その実効性は、受け入れ側の観光産業界がどのようなポジションを提供できるかにかかっている。現場だけの短期研修ではアルバイトとあまり変わらず、大きな意義は見いだせない。企画・管理といった中枢部で、将来必要な知識が何かを学生に実感させる工夫を、観光産業界側も行うことが重要である。
 社会人に対する教育も今後、大学が担うべき役割といえるだろう。観光産業に従事する社会人(従業員)を対象とするマネジメント教育のニーズが高いテーマとして、「経営戦略概論」「IT概論」「会計概論」「ホスピタリティ産業の財務管理」などが挙がっている。


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