特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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企業ニーズに対する大学の誤解

 大学が育成する人材像を明確にすると同時に、企業も、より具体的な人材要件を公表することで、大学と企業は互いをより深く理解できるようになるはずだ。大学と企業のコミュニケーション不足は、次のようなエピソードに表れている。「企業は大卒者に即戦力を求めている」と考える大学関係者は多い。しかし、企業に話を聞くと、そんなことは言っていないという。企業は、入社してすぐに実務をこなせる人材を求めているわけではない。新しい知識を積極的に吸収しようとする姿勢や、業務を進めるうえで必要なコミュニケーション能力など、社会人として必要な汎用的な力を求めているのだ。
  大学は、汎用的な力を修得させる教育に加え、こうした自律的に学ぶ力や、生涯学び続ける力を養うことも重視すべきだ。世の中がどのように変わっても、勤め先の事業が変わっても、柔軟に対応できる力、自ら新しい分野にチャレンジする姿勢を身に付けさせることが、大学に課せられた使命ではないだろうか。


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