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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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入学者数や就職者数の公表を義務化

 前述のような背景の下、文部科学省の中央教育審議会大学分科会は、個々の大学による教育情報の公表を制度化するための議論を重ねてきた。その結果として、学校教育法施行規則等の一部改正を省令で行うべきことを答申、2010年6月15日に同省令が公布され、2011年の4月1日に施行されることになっている。この制度化によって、各大学は2011年の4月1日から図表2のような情報を公表しなければならなくなる。

図表2:情報公表が義務化される項目

 また、これらの項目のほかに、教育上の目的に応じ学生が修得すべき知識、および能力に関する情報の公表を、努力義務として定めている。さらに、適切な体制を整えたうえで、刊行物への掲載、インターネットの利用、その他広く周知を図ることのできる方法で教育情報の公表を行うこととしている。6月の公布時に文科省政務官の名前で全国の大学などに送られた通知には、教育情報を公表する際に、「大学の教育力の向上の観点から、学生がどのようなカリキュラムに基づき、何を学ぶことができるのかという観点が明確になるよう留意すること」という文面が付されている。
 こうした情報公表の項目はみな当たり前のことばかりで、企業をはじめとする世の中の組織から見れば、公表したからといって取り立てて自慢するようなことではない。実際、これらの多くをすでに公表している大学のほうがずっと多い。
 しかし、全国にはそうではない大学もある。例えば、私立大学では、財務に関する情報をウェブサイトで公表しない大学が約14%、学内掲示板だけで公表する大学が約3%あるし、私立大学法で定められている事業報告書を出していない大学さえ20%ぐらいあるようだ(文部科学省「平成21年度学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査結果について」による)。当たり前のことをやっていない大学があるのは、努力している大学にとってずいぶん迷惑な話だ。


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