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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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就職先情報
企業名・人数の公表は国公私合わせて30校

 図表2は、掲載されている就職先、就職率がいつのデータかを調べた結果である。最新情報にあたる「2009年度」と明記している大学は6割弱の347校で、そのうち2008年度以前のデータも併せて掲載している大学は101校あった。2008年度以前の就職先、就職率を載せていた大学は4割、年度の記載がないデータを載せていた大学は2割ほどあった(重複があるため合計は100%にはならない)。
 教育改革を行い、新しい教育手法を次々と取り入れている大学もある。受けた教育が変われば、その結果として卒業生の評価も変わる。現在行っている教育を受けた学生の評価を伝えるためにも、直近の卒業生の情報を公表すべきだろう。近年は2、3年で雇用情勢が大きく変わっている。だからこそ、大学の就職状況に対する関心が高い。いつのデータかわからない就職実績は、公表していないに等しいといえよう。
 2009年度の就職先の業種を、割合や人数と併せて掲載しているかどうかを示したのが、図表3である。347校中65.1%(226校)が掲載し、そのうち全学でまとめたのが59校、学部単位は85校、学科単位では82校であった。学部・学科によって学ぶ内容は異なり、それぞれ就職先の業種には特徴が表れる。それらをアピールするためには、学部・学科別の詳しいデータが必要だろう。
 就職先の企業名まで掲載する大学はどれほどあるのか。図表4を見ると、2009年度卒業生が就職した企業名を公表している大学は74.9%(260校)であった。ただし、企業ごとに人数(「就職者数」「内定者数」など)も明記している大学は30校にとどまった。企業別の人数の明記はないが、「内定者が3人以上いる企業」「内定者数が上位20位までの企業」など、ある程度ボリュームをイメージできるような形で公表している大学もあった。
 さらに詳しい情報として、職種を掲載しているかどうかも調べた。図表5を見ると、2009年度卒業生の就職について、職種にかかわる情報を掲載している大学は1割しかない。職種は入社後に決まる場合が多く、追跡調査が難しい。とはいえ、この学問を学べば特定の職業に就きやすいという特徴を伝えられることから、今以上の把握と発信が必要だろう。

図表2:データの年度
図表3:業種(%や人数も併記)図表4:企業名 図表5:職種

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