特集
工藤潤

くどう・じゅん

桜美林大学大学院国際学研究科修了。2007年大学基準協会大学評価・研究部審査・評価系主幹兼企画・調査研究系主幹。2008年から現職。文部科学省設置計画履行状況等調査委員会委員等を歴任。高等教育質保証学会評議員。


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評価者の視点1

市場の正しい理解を助ける
情報公表と認証評価


(財)大学基準協会 大学評価・研究部部長  工藤潤

現行の大学評価における情報公開の評価

  2010年6月、学校教育法施行規則が改正されて、大学は、2011年4月から、社会に対する説明責任の観点から、また教育の質の向上に資する観点から、教育情報を公表していくこととなった。大学情報の公表については、これまでも中央教育審議会においてたびたび議論されてきたが、大学基準協会(以下、基準協会)は、認証評価制度導入以前からその重要性に着目して、現行の大学評価基準「15.情報公開・説明責任」において次のように定めている。
 「大学は、大学の組織・運営と諸活動の状況、およびそれらの点検・評価結果について情報公開し、社会に対する説明責任を果たさなければならない」
 この基準の解説では、大学は公財政に支えられた社会的組織体であり、ステークホルダーに対して教育・研究活動の情報を提供して国内外の要請に適切に対応する機能を確立すべきとの観点から、組織・運営と諸活動の状況について積極的に情報公開し、社会に対する説明責任を果たさなければならないこと、情報公開する場合の適切な規定と組織を整える必要があることを指摘している。
 こうした基準にしたがって、実際の評価では、大学の刊行物やウェブサイトにおける情報公開の状況、各大学の自己点検・評価結果の発信状況および財務の公開状況をチェックするほか、情報公開請求への対応状況の適切性についても検証している。特に、自己点検・評価結果の社会に対する公表、大学関係者(教職員・学生・保護者・卒業生)からの情報公開請求への対応および財務の公開状況が不十分な場合は、勧告もしくは助言を付して改善を求めている。


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