特集 「多様化」する保護者にどう対応するか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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保護者と生徒が話題を共有することが大切

 これらの課題を克服するためには、ともかく進路講演会に出席してもらい、保護者が満足する情報を提供し、学校に関心を持ってもらうことが先決であると同校は考えた。
 「保護者が学校に来ないのであれば、学校が出向いてはどうか」。こうした発想から、同校は3年前から年1回の「地区PTA」を活性化させている。学区を20ブロックに分けて、地区ごとに校長と進路指導主事が出向いて進路講演会を行うものだ。対象は全学年の保護者で、時期は夏休み前。共働きや自営業の保護者に配慮して、土曜日の19〜21時とし、会場はアクセスに便利な地域の公民館や集会所を利用している。話す内容は、受験までのプロセスや夏休みの過ごし方が中心だが、保護者の関心をそそるトピックも随所に盛り込む。毎年、半数近くの地区が開催する。特に保護者の反響が大きいのは、社会で活躍する卒業生のエピソードだ。
 「アメリカで渉外弁護士をしている教え子に『弁護士になって何が一番役に立ったか』と聞いたところ、『世界史』と答えました。多民族国家のアメリカで活躍するには、世界の文化や歴史についての教養が欠かせないというわけです。保護者にとっては、高校の授業と受験、大学、社会はそれぞれ別物という意識があります。これらが一本の線でつながっていることを理解することで、進路に対する関心も高くなるのです」(町田先生)
 こうした話題を保護者と子どもが共有することも、保護者の意識改革には欠かせない。「親と子が話題を共有し、共通の価値基準を持つことが、より良い進路選択につながっていくのです」と町田先生は強調する。


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