指導変革の軌跡 長崎県立諫早(いさはや)高校「進路観の醸成」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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対話型の小論文指導で志望理由がより明確に

 CDA学習のクライマックスは、センター試験後から国公立大後期試験直前まで行う、全校体制による小論文・面接指導だ。教師1名が受け持つ生徒は、3学年団で3、4名、他学年で2、3名である。以前から全校体制の指導は行われていたが、05年度から「CDA学習の仕上げ」と位置づけ、指導のポイントの資料を全教員に配付し、委員会主催の教員研修会も実施している。
 担当教師は、生徒の志望学部・学科によって各教科に振り分けられた上で決まる。国語科以外の教師の中には小論文指導を苦手とする教師も少なくないが、全校体制によるよりきめ細かい小論文指導が可能になったのはなぜか。渡邉先生は、「小論文指導に対する先生方の認識が『添削から対話へ』シフトしたことが大きい」と説明する。「小論文指導では、答案に赤字をびっしり書いて返すという意識が、私たちの中にありました。しかし、文法や構成など技術的なことより大切なのは、その大学・学部・学科に対する受験者の思いです。小論文の設問は『大学からのラブレター』といわれるように、どのような学生に来てほしいのかというメッセージが込められています。対話型によって、なぜその大学に行きたいのか、学んだ学問を将来何に生かしたいのかを明確にしていくことで、より効果的に指導できるようになりました」
 対話型指導の導入後、年度末の職員室では生徒と教師がざっくばらんに語り合う光景が見られるようになった。生徒は自分の思いを小論文に込め、教師は自らの経験、考えを生徒にぶつけていく。「これこそが究極の進路指導」と、渡邉先生は言う。
 当初、消極的だった教師も、実際に指導してみると「面白かった」と話していたという。3学年主任の田川耕太郎先生は、「CDA学習を続けているうちに、教師の間に学年を超えて協力しようとする姿勢が生まれ、指導力を上げるという効果もありました」と話す。


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