特集 「大学入試分析」を生かす
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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目標と素材は共有しつつ指導は教師の個性を生かす

 3年生になると、こうした学校行事としての入試分析の機会はなくなるが、逆に毎日が分析力向上のための研修になる。進路指導部の大須賀義弘先生は、次のように説明する。
 「演習問題は学年共通で使うので、『あの問題はどのように説明したか』『生徒はどの程度理解できたか』といった会話ができるようになります。そうした議論を日常的に行うことによって、ノウハウの伝達や教師同士のコンセンサス、分析力の向上につながるのです」
 教師間で目線合わせやノウハウの共有は行うが、指導法の統一まではしない。「生徒の得手不得手や理解度、感性は一人ひとり違います。また、生徒にも『A先生の教え方が自分には合っている』『B先生の説明は分かりにくい』など、好みや相性があります。教師それぞれの個性を生かす方が、生徒の持つさまざまな要望にも対応できるのです」と、大須賀先生は強調する。
 生徒の成長が、教師の指導技術の向上を促すことも多い。10月ごろになると、生徒の学力も大きく伸び、教師が予想もしないような鋭い質問が出てくる。
 「我々が即答できない質問を投げ掛けてくることもよくあります。教師も生徒に鍛えられ、生徒と共に成長していくと感じます」と大須賀先生は言う。2年生後半からの1年半は、生徒のみならず教師にとってもステップアップのための好機なのだ。
 こうした厳しい状況の中で入試対策を経験した担任は、1年生からの積み重ねの大切さを痛感するという。
 「基礎学力に加え、読解力や推理力、理解力など、土台となる力をしっかり身に付けていなければ、3年生でいくら演習をこなしても力は伸びません。本校で初めて3年間を持ち上がりで経験し、改めて1年生時の指導の大切さに気付きました」(大須賀先生)

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