指導変革の軌跡 静岡県立静岡高校「初期指導強化」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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模試の徹底活用により大学入試への意識を高める

 模試の徹底活用も、この学年から始まった。それまで、クラス同士の比較などにとどまっていた模試活用を変えたのだ。
 07年度1年生からは、目標の設定→満点答案の作成→模試分析という流れで、事前・事後の指導を徹底した。事前指導では、学校独自の「事前準備シート」(図1)に、生徒が志望校や前回の模試の振り返り、今回の目標を記入する。目標は素点で設定。「A大合格にはあと○点、1教科に換算すると○点」と、目標と現在の実力との差を明確に意識できるようにした。

図1:模試の事前準備シート

 模試後は、白紙の解答用紙を配布し、もう一度、教科書や参考書、辞書を使いながら同じ問題を解き、満点答案を作成・提出させる。その後、解答解説を配り、自己採点をさせて再度提出させる。未提出者は放課後、監督教師の下で徹底的に指導を受ける。
 受験結果を返却する際は、成績表と共に、教師の手による教科ごとの模試分析を示し、全国よりもできた分野、差がついた問題、授業で扱った時期などを伝え、「大学受験における1点の価値は、上位になるほど重くなる」と意識付けていった。斎藤先生は次のように話す。

 「満点答案の作成は、生徒だけでなく、教師も大変ですが、『模試はここまで活用する』という意識を低学年時から持たせることが大事なのです。また、かつては厳しく指導しようとしても、生徒がつらそうな表情をしているとつい手を緩めてしまい、指導が徹底されないことも少なくありませんでした。低学年時からすべきことにしっかり取り組む姿勢を身に付けさせることによって、生徒には例年にない粘り強さが見られるようになりました
 一連の指導により、同学年の模試成績は例年以上に堅調だ。例年、3年生6月の模試は下降線を描いていたが、この学年は3年次に大きく落ち込むこともなく底堅く推移している(図2)。

図2:05〜09年度の3年生の進研模試成績推移(国数英総合)

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