「データで考える子どもの世界」
大学生の学習・生活実態調査報告書
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大学卒業後の進路に対する活動

 卒業後の進路について、何らかの検討を行っている大学生の「大学卒業後の希望進路」は、「民間企業」(61.1%)、「進学」(14.8%)、「公務員」(12.7%)、「教員」(5.0%)の順に多くみられた。「大学卒業後の進路に向けた準備・活動(予定含む)」は、大学3年生の時期から行う学生が65.1%を占めていた。しかし、「保健その他」など大学院進学者が多いような学部系統では、「大学卒業後の進路に向けた準備・活動」が大学4年生の時期となることも示された。

Q
【「まだ何も考えていない」以外に回答した方にお聞きします】
●大学卒業後はどのような進路を希望していますか(決定していますか)。あてはまるもの1つをお選びください。
●大学卒業後の進路に向けた準備・活動をいつ頃から始めようと考えていますか(あるいはいつ頃から始めましたか)。あてはまるもの1つをお選びください。
 では、現在の大学生は、大学卒業後にどのような進路を希望し、その進路に向けていつ頃から活動を始めているのだろうか。実際に活動を始めていない段階の学生は、いつ頃から活動を始めようと考えているのだろうか。ここでは、「大学卒業後の進路に対する活動」について、「大学卒業後に希望する進路」および「大学卒業後の進路に向けた準備・活動の開始時期」といった側面からみていこう。なお、ここでは、「大学卒業後の進路の検討状況*1」について、「まだ何も考えていない」と回答した者を除いて分析していくこととする。

 図4-1-3は、「大学卒業後の希望進路」を示したグラフである。「民間企業」(61.1%)、「進学」(14.8%)、「公務員」(12.7%)、「教員」(5.0%)の順に多くみられた。ただし、最も希望する進路1つをたずねた結果であることには注意が必要であろう。すなわち、「進学」「公務員」「教員」と回答した者の中にも、「民間企業」への就職準備・活動を検討している(行っている)者も少なからず存在することは、十分予想しうることである。
  • *1 第4章「大学卒業後の進路の検討状況」(図4−1−1)を参照。
図4−1−3 大学卒業後の希望進路(全体)
 では、いつ頃から、希望する進路に向けた準備・活動を開始したのだろうか。その段階に至っていない学生は、いつ頃から、希望する進路に向けた準備・活動を開始しようと思っているのだろうか。

  図4-1-4は、「大学卒業後の進路に向けた準備・活動の開始時期(予定含む)」を示したグラフである。「大学3年生の後期」(31.1%)、「大学3年生の前期」(20.0%)、「大学3年生の夏休み」(14.0%)など、大学3年生の時期から、大学卒業後の進路に向けた準備・活動を行った者(行う予定の者も含む)が65.1%に及んでいる。近年、大学生の就職活動時期の早期化が問題視されているが、図4-1-4からも、現在の大学生がこうした傾向にあることが示されている。今後、大学4年生のみならず、大学3年生の通学日数・授業への出席や大学で過ごす時間の減少が懸念される*2
  • *2 第2章第2節「1週間を通しての通学日数、大学で過ごす時間」(表2−2−2)および第3章第1節「授業への出席状況」(表3−1−1)を参照。
図4−1−4 大学卒業後の進路に向けた準備・活動の開始時期:予定含む(全体)
 では、「大学卒業後の進路に向けた準備・活動の開始時期」の傾向には、学部系統によって差異がみられるのだろうか。

  「大学卒業後の進路に向けた準備・活動の開始時期(予定含む)」を学部系統別に示したものが、表4-1-1である。大学4年生までに、大学卒業後の進路に向けた準備・活動を開始した者(開始する予定の者も含む)を対象としている。表4-1-1によると、教育実習の兼ね合いもあり、「教育」は、「大学3年生の前期」において、31.3%と全体平均よりも10ポイント以上高い結果が示された。その一方、大学院進学率が高いと思われる「保健その他」では、大学4年生での準備・活動が全体平均よりも10ポイント以上高い結果となった(「大学4年生の前期」16.9%、「大学4年生の夏休み以降」18.2%)。
表4−1−1 大学卒業後の進路に向けた準備・活動の開始時期:予定含む(全体・学部系統別)
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