移行措置対応のポイント 第3回 子どもが主体的に考える理科の指導
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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4年生 単元名「もののかさと力」 (全6時間の1時間目)

目標 ポリ袋に空気を閉じこめ、手や体で圧したり弾ませたりして、空気の様子を調べることができる
授業者 鈴木吉一先生 児童数 33人 場所 体育館
指導案の背景にある考え
この単元は空気や水の性質の理解を主な目的とする。日常生活では空気の存在を意識する機会が あまり無いため、単元の導入となる本時ではポリ袋に空気を入れて遊ぶ活動を中心にした。この 活動による「感覚的」な理解は、その後の授業を通して「科学的」な理解へと高められていく。
空気でっぽう作りから始め、空気の性質をとらえていく流れにすることもできる。しかし、初め に「原体験」となる活動をすれば、空気に対する疑問や関心を持ち、その後の学習の理解度が変 わる。例えば、空気でっぽうを使う時に、空気が圧せられる現象を見て、「遊んだ時に感じたこと と同じだな」などと原体験と結び付けて考えられると、理解がスムーズになる。
鈴木先生が授業で心掛けていること・育てたい子ども像
「分からないことが分かるようになることが楽しい」と、考える楽しさを感じられる授業を心掛けている。
日頃からいろいろなことに気付いて欲しいため、「よく観る目」を育てたいと考えている。特に4年生では、1年間を通して、「変化や違いの要因」を見いださせることを重視。教室内に生物や植物、電動おもちゃなどを持ち込み、体験を増やし、子どもの興味・関心が何かを探ることを意識している。
時間 学習内容・活動 教師の工夫点教師・子どもの反応子ども
0分 【学習のめあてづくり】
1. 教師が「空気を知っているか」「ポリ袋に入れられるか」 と問う
2. 空気をポリ袋に集めるには、どうしたら良いかを考える
3. どのような遊びができるかを考える
4. めあてをつくって確認する

めあて ポリ袋に空気をとじこめて、はずませたりおして みたりしてあそぼう
黒板
教師 子どもが空気を入れた後、教師が空気入りのポリ袋を子どもたちに向 かって投げた
子ども 喜んでポリ袋を投げ返し、活動に対する期待感を高めた。その後、「こ れで遊んでみたい人いる?」と言う先生の言葉に大喜びした
教師 教師が指示せず、「どんな遊びがある?」と質問し、子ども自身が遊び 方を考えた
子ども 「バレーボールみたいに遊ぶ」「キャッチボール」「ける」など多くの考 えが出る。教師の意図に最も近い「上に乗る」という意見を出した子 どもが前に呼ばれ、皆の前で実演した
教師 今日はポリ袋で遊ぶとした上で、「理科の授業だから、いろいろな遊び をして、気付いたことはビッグノート(模造紙)に書くように」と伝 えた。遊びに夢中になり過ぎて、空気の性質に気付かなくなることを 防ぐため。安全に気を付けるようにとも伝えた
11分 【ポリ袋に空気を閉じ込め、手ごたえの観察と記録】
1. 子どもが一人ずつ、ポリ袋に空気を集めて活動開始
2. 空気を閉じ込めたポリ袋を圧したり弾ませたりすると、どんな感じがするかを体験する
 ・手で圧したり弾ませたりする
 ・両手で抱えて圧する
 ・体を押し付ける
3. 気が付いたことをビッグノート(模造紙)に書く
教師 ポリ袋の口を留めるクリップを準備
子ども 準備に時間を掛けずに、すぐに活動に移れた
教師 途中で「もっと大きい袋もあるよ」と、あらかじめ空気を入れておいた大きな袋を投入して、新たな刺激を与えた
子ども 活動中、ほとんどの子どもが気付きを記入した。複数書く子どももいた
25分 【活動の共有】
1. いったん子どもを集め、二人でポリ袋を挟んで圧し合う 活動をしていた児童を教師が前に呼び、児童が実演する
教師 投げ上げる活動や、一人での活動が多い中で、新たな動きを紹介して 「やってみよう」と取り組ませることで、空気への気付きを深める
子ども 二人で圧し合う活動が増えた
35分 【ポリ袋に空気を閉じ込め、圧した時の手ごたえや、中の空気の様子について話し合う】
1. 教師が、ビッグノートに書かれた意見の中で似たものをペンで結び付けていく
2. ポリ袋が圧された時、中の空気はどうなっているかを考える
教師 「○○さんは『強くおすほどおし返された』と書いているね。どうやって遊んだの?」と、前に出て見せてもらう。更に「中に入った空気はどうなっているんだろうね?」と質問した
子ども 最終的に本時のねらいである「空気はおされると縮む」「縮むと元に戻ろうとする」といった意見が出た
43分
45分
【気付いたことのまとめ、感想の記録】
1. 授業で分かったことをまとめとして各自のノートに記入する
2. 授業の感想やもっと調べたいことを書く
教師 まとめの文章として、「ポリ袋に空気をとじこめて、おしたりはずませたりすると、○○○○だった」と板書し、ノートに書かせた
◎子どものノート例
【まとめ】 ポリ袋に空気をとじこめて、おしたりはずませたりすると、空気はちぢむ。
【感想】 わたしは、空気を袋に入れて、おすとおし返されるような感じがしてふしぎでした。もっと空気のことが知りたいです。

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