移行措置対応のポイント 第3回 子どもが主体的に考える理科の指導
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 23/24 前ページ 次ページ

組織づくりの工夫

 明確なビジョンを持つことが研究を続けられる理由
 一丸となって指導に取り組む教師の姿が印象的な国立第五小学校。そのような雰囲気が生み出された理由を、堀越校長はこう話す。
 「リーダーとなる教師が『子どものためにより良い授業を』と明確なビジョンを持っていることが大きいでしょう。なかなか成果が出ずに苦しい時期もありました。しかし、リーダーの存在があったからこそ、皆が『信じてやってみよう』と思えたのです」
 教職歴14年の直井淳也先生は、力量のある先輩教師の存在は大きいと話す。
 「協議会などでのコメントがとても適切で、『その通りだな』と納得できるから、もっと研究や実践を深めて成長したいという気持ちになるのだと思います。職員会議などが徹底して効率化されているため、指導計画や教材研究に力を注げるのもうれしいですね」
 一方、若手教師を指導する立場にある木先生は、どう感じているのか。
 「協議会だけではなく、普段から職員室などで『あの時の発問の意図は?』『あの発言を取り上げたのはなぜ?』などと、先生からよく具体的な質問を受けます。実験結果の予測など、すぐに答えられない場合もあり、『じゃあ一緒に確かめてみよう』と言う時もあります。若手が頑張っているからベテランも頑張るという良い循環が生まれているのではないでしょうか」
指導力向上のための取り組み

模擬授業

研究会前に実施。20人程度の教師が児童役として授業を受け、その後の協議会で気になった点などを話し合う。10月の校内研究会の前にも実施され、その結果、問題設定の場面が変更された。模擬授業は、新単元に入る前などに学年ごとにも実施。その場合、数名の教師が児童役となり、その後の話し合いで指導計画の改善・共有を図る。

校内研究会の工夫

授業の回数を増やすため、同時間に学年担任全員が研究授業を実施。

OJT制度

教務主任が指導力の優れた5人の教師を選出し、「指導と評価の一体化」など1年間の研究テーマを設定。他の教師は関心のあるテーマを選び、グループに分かれて研究する。グループ内で研究授業も実施。

日常的に授業を見合う

普段から授業を見合うことを大切にする。3年生の場合、新単元に入る際、今村先生の学級に渡邉先生が入って指導を担当することもある。「こういう流れにすれば良いのかというイメージがわきます」と今村先生。堀越校長が若手教師と一緒に授業を見て回り、それぞれの教師の優れた点や授業を見る時の視点などを伝えることもある。

会議の撤廃・効率化

朝会はなく、連絡事項は掲示板で伝える。平日の職員会議も廃止し、月1回、公開授業を行う土曜日にまとめて実施。会議は、議題を絞って効率的に進め、30分を超えないようにする。こうして生み出された時間は、教材研究や学年会など指導力向上のために使う。

※「くにごメソッド」の構築にあたり基にされた考え方は、『新理科の考え方と授業展開』(角屋重樹編著、文溪堂)をご参照ください

   PAGE 23/24 前ページ 次ページ
目次へもどる
小学校向けトップへ