日本私立学校振興・共済事業団の「平成19年度 私立大学・短期大学等入学志願動向」によると、2007年度入試で定員割れとなった4年制私立大学は約4割に上る。受験生に人気の学部・学科を新設すれば学生が集まる時代は終わり、長期にわたって学部を存続させる努力が、これまでにも増して求められるようになったといえる。
また、認証評価機関による第三者評価等、第三者に評価される時代、客観的に見ても分かる特色の可視化が必要な時代になっている。
それぞれの大学は自学の特色化・個性化に努めているが、その成果は表れているのだろうか。
図1〜4は、大学の特色として考えられる全43項目について「自学にとても当てはまる」とした4年制私立大学の数値(自己評価)と、学生が「自学がとても当てはまる」と回答した数値(学生評価)とを比較した結果である(学生のデータは、本誌2007年夏号の「大学選びの志向と入学後の評価に関する調査第2回」で学生に同様の質問をして得た回答)。
第一に注目したい点は、「キャリア教育や就職・進学指導について」である。図1を見ると、キャリア教育や進学・就職に関する取り組みに力を入れる大学は多いことが分かる。図4のキャリア教育や就職・進学指導についての項目でも、総じて大学の自己評価は高い。ところが、学生評価は低く、自己評価とのギャップが大きい。図4の項目に至っては、全9項目のうち8項目で学生評価が大学の自己評価を10ポイント以上下回っている。
文部科学省・厚生労働省の「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」によると、ここ数年、就職率は上昇している。採用状況は好転しているにもかかわらず、学生評価が低い原因は何か。その一つに、学生は「大学がどこに就職させてくれるのか」ということを求めていると考えられる。また、いわゆる受け身的な学生が増えたことによって、大学がかつての学生に評価が高かった取り組みをしても、同じように評価されないのではないか。
大学側はキャリア教育・就職指導に対する学生の要求が変化していることを認識し、現在の学生のニーズに合う取り組みを行う必要がある。 |