学士課程教育の質を保証する
認証評価取得の動き

　2004年度から、すべての国内の高等教育機関で第三者評価の受審が義務付けられた。大学・短大・高専は、評価基準を満たしているかどうかについて、文部科学大臣の認証を受けた評価機関の評価を受ける必要が生じた。その評価項目は多岐にわたり、高等教育機関として一定の水準を満たしているかどうかが幅広く問われる。
　2008年には大学設置基準が改正され、ＦＤの実施、学部・学科ごとの教育目標の公表などが義務付けられ、さらに厳格な質保証が求められるようになった。
　こうした「義務」としての取り組みに加え、大学が自ら教育の質を保証していることを明らかにする目的で、ISO9001などの認証を取得する動きが見られる。このような「自主的」な質保証の取り組みには、どのような意義があるのだろうか。

　ISO9001は、「品質を常に維持向上させるなど、顧客の満足度を向上させるための仕組みについて『国際標準化機構（ISO）』が定めた国際規格のこと」と定義されている（財団法人日本適合性認定協会資料より引用）。ここで重視されるのは、品質を管理するためのマネジメントシステムであり、そのシステムをさらに良くするための組織づくり、責任分担、仕事の方法などが問われる。
　主に製造業で取得するケースが多く見られるが、仕事の方法や管理のあり方についても認証を行っているため、製造業だけではなく、教育機関で取得する例も散見される。
　大学等の認証では、顧客を学生、サービスを教育と見なし、品質を維持・向上させるためのマネジメントシステムの構築や継続的な改善が求められる。「教育」の分類で認証を取得しているのは、2008年８月現在で80組織。大学は、鹿児島大学水産学部、（学）東京聖徳学園、玉川大学工学部の３組織だ。