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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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同窓会の提言を 大学の施策に反映

 同窓会は、さまざまな形で学生とかかわる機会を増やしている。2003年度からは同窓会に学生評議員制度を設け、学生の意見を活動に反映させるようになった。現在は8人の学生が評議員を務める。また、さまざまな分野で活躍する卒業生を講師として招く講演会「AOLS(Alumni Open Lecture Series)」も実施している。
 大学は、同窓会と学生の交流を歓迎している。円谷恵事務局長代行は、「学生にとっては、リベラルアーツが将来、どのようなキャリアに結びつくのかイメージしづらい。卒業生とのかかわりが増えることによって、自分の将来を思い描きやすくなったのではないか」と語る。
 卒業生と学生の交流が、ICUの伝統を受け継ぐ場ともなっているという。2008年度から卒業生の発案で始まったPeace Bell奨学金の授与式では、寄附をした卒業生が、「ICUは多くの方の寄附により設立された。後輩の支援を通じて還元したい」という趣旨の挨拶をした。奨学生も「卒業後は、自分もICUに貢献したい」と感謝の言葉を述べた。
 「卒業生が学生にICUの理念を伝えてくれるおかげで、その思いを受け継ぎたいと考える学生も増えているのではないか」と円谷事務局長代行は語る。
 大学と同窓会の意見交換の場としては、年1回行われるAA(Alumni & Administrator)会がある。同窓会役員と大学幹部が、学生支援や学生募集の状況などについて意見を交わす。
 大学創立50周年の2003年、同窓会の「Vision2050委員会」が大学に提出した提言は、具体的な施策として反映されている。例えば、「透明性のある大学評価の導入」という提言は、自己点検・自己評価を実施するにあたり、外部評価や卒業生調査を行うことで実現された。「地球市民として生きるための理論と実践を学ぶ」という提言は、「サービス・ラーニング」の充実につながった。


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