特集 「学校力」を考える(3)生徒が伸びる面談
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事例1 納富義樹先生の例
授業では叱るが面談では褒める

 「面談の狙いは現状の認識とモチベーションの向上」というのは、教職歴11年目の納富義樹先生だ。納富先生の面談の特徴は、ともかく生徒を褒めて自信を持たせること。たとえ模試や考査の結果が思わしくなくても、次の一手に向けていかに生徒のやる気を高めていくかに気を配る。
  「最近の生徒はすぐに結果を求めるため、何事にもあきらめが早い。『自分の力はこの程度だ』などと勝手に決めつけ、投げ出してしまうことが多い。面談では、生徒の良いところを褒めて気持ちを前向きにさせ、より高い目標に向かわせるよう留意しています」
 普段の授業やHRでは、これ以上ないというくらい厳しく叱るが、面談では努めて優しく接する。たとえ成績が下がったとしても「すぐに結果が出るわけではない」「この結果は事故と思え。気にするな。次を楽しみにしている」と励ます。模試や考査に向けた目標や具体的な対策については、納富先生から先に結論を出さず、できるだけ生徒自身の口から言わせるようにする。そして、少しでも成績が上向けば大げさにでも褒める。「生徒は一度結果を出せれば、あとは自分で自信を持って学習に取り組むようになります。そこまで押し上げるのが私の大切な役目」と納富先生は強調する。もっとも、模試や考査に向けた対策をしっかり実行できているかどうかは、学習記録などで厳しくチェックする。「結果にはあまり神経質にならないが、取り組みの実行状況や生活態度にはこだわる」のが納富先生のスタンスだ。
  また、生徒との信頼関係を強めるために、ほかの教師との連携を図り、自分の目の届かない場面での生徒の様子まで把握するように努めている。例えば、すべての教科の教師から課題の未提出者リストをもらってクラス全員の取り組み状況を把握したり、生徒の授業中の様子などの情報を聞いたりして、面談のときにさりげなく話題にするという。
  「教師全体でその生徒のことを見ているということが伝われば、生徒の意識が高まりますし、担任のアドバイスにも素直に耳を傾けるようになります。今後はほかの先生や保護者の方とも連携して、更に効果的な面談の在り方を探りたいですね」


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