このように発達心理学の研究は、まずは問題意識からメタ理論(※3)を導き、適切な実験や実証を選択し、それを地道に実践する――という流れで進めるケースがほとんどです。
言葉の習得過程の研究を幼児期の言語学習に生かすなど、発達心理学の成果は教育などに生かされています。しかし、発達心理学には、ロボット開発のように、社会を一瞬に変える力はありません。皆さんは、サン=テグジュペリ(※4)の『星の王子さま』を読んだことがありますか。この本には、「大切なものは、目に見えない」という印象深いメッセージがあります。脳の働きや心の動きも目には見えません。その重要ななぞを解き明かすのが、私たちの役目なのです。 |