未来をつくる大学の研究室 鳥取という地の利を生かし「人の役に立つ」乾燥地研究に挑む
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 3/5 前ページ  次ページ

研究者としての夢
乾燥地に暮らす人々の役に立つ研究をしたい

 私は子どもの頃から環境問題に興味がありました。小学生だった1970年頃、公害の本を親に買ってもらった記憶があります。イタイイタイ病などの四大公害を始め、経済成長に伴う負の側面が出てきて、環境庁が設立されたころでした。
 乾燥地の研究を志したのは、大学時代に『砂漠化する地球』(※3)を読んだのがきっかけです。そのため、大学3年生で専攻を選ぶ際、私は砂漠化の研究ができる可能性のある造園学の研究室を選びました。しかし実際には、当時は砂漠化を専門的に学ぶことは出来ませんでした。
 結局、乾燥地研究を始めたのは、博士課程を終えて就職してからです。研究者としては遅いスタートでしたが、夢をあきらめきれなかったのです。鳥取大乾燥地研究センターの教員となったのも、乾燥地についてより専門的に研究するためです。乾燥地研究センターは、古くは砂丘地の農業利用をテーマとした研究機関でしたが、今は世界有数の乾燥地研究機関となっています。研究者の層が厚く、研究施設も整っています。海外に行く機会も増え、世界各地の乾燥地を訪れて、研究を進めています。砂丘がある鳥取という地でなければ、世界へ最先端の研究を発信できなかったでしょう。
 これまで私は、人工衛星を使った環境の監視や分析などを専門としていました。しかし、乾燥地での現状を目の当たりにし、「より人の役に立つ仕事をしたい」という気持ちが強くなっていきました。基礎研究はもちろん続けますが、自身の研究がどのように社会に結び付いているのかを見たいのです。乾燥地に暮らす人々の生活が、目に見えて良くなるような成果を出せる研究をしたいと思っています。

用語解説
※3 『砂漠化する地球』 清水正元著、講談社ブルーバックス。

  PAGE 3/5 前ページ 次ページ
目次へもどる
高等学校向けトップへ